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カート

皮膚病とその治療

犬や猫を飼っていると皮膚トラブルはつきもの。
夏は暑さ、湿気、カビに悩まされ、冬は厳しい乾燥…。1年を通してなかなか気が抜けません。
皮膚トラブルによる激しい痒みはペットにとってもストレス。適切な治療や予防方法を知っておくことは非常に大切です。

そこで今回は、皮膚トラブルで悩める飼い主さまのために、皮膚の病気について、症状や治療、また予防についてご紹介します。ペットの皮膚関係でお悩みの飼い主さま、必見です!

アトピー性皮膚炎

病気の概要

アトピー性皮膚炎は環境アレルゲンに対する過敏症です。遺伝的要因が疑われている疾患です。

1-3歳齢での発症が典型的です。しかし3ヶ月齢以前で発症することもあれば10歳齢以降で発症することもあります。性差はありません。
テリア、ボクサー、ダルメシアン、レトリーバー、ブルドッグ、シュナウザー、ラサアプソ、シーズー、柴犬などの犬種での発症が多いです。

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アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎の主な症状は「痒み」です。
痒みの箇所は、顔面、四肢端、腋窩、鼠径部、会陰部など多岐に渡ります。病変部には赤くなったり、皮膚がシワになって硬くなったり、毛が抜けたりといった変化が起こります。

アトピー性皮膚炎から二次的に、細菌感染、真菌感染などを引き起こす場合もあります。
症状には季節性があるとされていますが、病気の悪化や加齢に伴い、通年性になる傾向にあります。

病気に対するお薬

犬アトピー性皮膚炎は基本的に根治できない病気です。
よって治療の目的は痒みを軽減し、生活の質を向上させることになります。

環境中の抗原を減らす、痒みを抑えること、スキンケアなどが治療に重要になってきます。
環境中の抗原を減らすためには、飼育環境の掃除を定期的に行うことが必要です。アトピー性皮膚炎の原因の一つにハウスダストマイトが上げられるので、布団や毛布、カーペットなどを清潔に保つことが必要です。
痒みの緩和には外用薬及び内服薬を使用します。

ステロイド
痒み止めの薬剤としてステロイドが一般的です。内服薬、外用薬共にステロイド含有の物を使用することが多いです。
ステロイド以外
最近ではより安全性が高いステロイド成分ではない痒み止め薬も普及しています。
免疫抑制薬
アトピー性皮膚炎が重度の場合、治療に免疫抑制薬が使用される場合もあります。
低刺激シャンプー
スキンケアとしては主にシャンプー療法が行われます。アトピー性皮膚炎の場合は低刺激のシャンプーを主に使用できます。
クロルヘキシジン、抗真菌成分シャンプー
二次感染が疑われる場合は、クロルヘキシジンや抗真菌成分が含まれたシャンプーを使用します。

マラセチア性皮膚炎

病気の概要

マラセチア性皮膚炎は「マラセチア」と呼ばれる酵母菌が原因となり発症する皮膚病です。

マラセチアは常在菌で、皮膚、口、耳、肛門粘膜などに存在します。
マラセチアは脂質を利用して発育します。よって、何かしらの原因で皮膚の脂質分泌が過剰になると、マラセチアの異常増殖が起こります。そして、そのマラセチアが分泌する脂質分解酵素などによって皮膚に炎症が引き起こされ、皮膚病が発生します。

皮膚糸状菌症

マラセチア性皮膚炎の症状

マラセチア性皮膚炎の主な症状は、皮膚の赤み、脱毛、フケ、臭気、色素沈着などです。

病変部は耳、口、四肢端、首、内股、腋窩、会陰部などが主です。
好発犬種は、プードル、ダックスフンド、キャバリアキングチャールズスパニエル、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなどです。

病気に対するお薬

まずは、皮脂の増加に繋がる原因疾患の治療が必要です。
しかし、異常増殖したマラセチアの数を減らす治療も同時に必要です。
マラセチアの数を減らす治療として、局所療法及び内服療法があります。
局所療法として、シャンプー及び外用薬が使用されます。

シャンプー
シャンプーはクロルヘキシジンやミコナゾール、ケトコナゾール含有のものが推奨されています。
外用薬
外用薬は、ミコナゾールやケトコナゾールなどの抗真菌薬含有のものが使用されます。
内服薬
内服薬ではケトコナゾールやイトラコナゾールが使用されます。

膿皮症

病気の概要

膿皮症は皮膚で細菌が増殖することにより発生する皮膚病です。

細菌の増殖している部位により、表面性膿皮症、表在性膿皮症、深在性膿皮症に分類されます。
原発疾患として膿皮症が発生することは少なく、背景にアトピー性皮膚炎や甲状腺機能低下症、マラセチア性皮膚炎などの病気が潜んでいることが多いです。

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膿皮症の症状

膿皮症では細菌感染による皮膚の炎症、それに伴う皮膚の痒み、湿疹、膿疱などが発生します。

感染が表在性の場合は毛穴に感染を起こすため、毛を中心とした湿疹や膿疱が認められます。
湿疹や膿疱が潰れるとそこにカサブタができます。
症状としてフケが認められることもあります。
湿疹や膿疱の回復期には皮膚の色素沈着が認められます。

病気に対するお薬

膿皮症では皮膚に細菌が増えているため、抗菌薬による治療が行われます。
抗菌薬は内服薬を使用することが多いです。
また、内服薬と併用して外用薬及びシャンプーが使用されます。

内服薬
セファレキシンという成分の薬剤が第一選択で使用されます。
外用薬
外用薬は抗菌薬配合の軟膏が使用されます。痒みが併発している場合、ステロイド含有の軟膏も使用されます。
シャンプー
シャンプーも抗菌作用を示す物が使用され、クロルヘキシジン、過酸化ベンゾイルなどが含有されている物を用います。

疥癬(かいせん)

病気の概要

疥癬は「ヒゼンダニ科」のダニが感染して発症する皮膚疾患の総称です。

疥癬は一時的に人の皮膚にも感染する「人獣共通感染症」です。
年齢差、性差はありません。ダニが皮膚の中にトンネルを作り産卵するため、皮膚に痒みが発生します。
ダニのライフサイクルは2-3週齢と言われています。

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疥癬(かいせん)の症状

軽度の感染であれば、湿疹がでたり、脱毛、フケ、痒みなどの症状が発生します。

重症化すると、皮膚が硬く盛り上がり、痒みも著しいものになります。
同居している犬猫や飼い主である人にも感染する可能性があります。

病気に対するお薬

疥癬の根本治療として、ダニの駆除薬が使用されます。薬剤は注射薬から滴下薬、内服薬など様々な形状があります。

駆除薬
成分として、イベルメクチン、セラメクチン、ミルべマイシンオキシム、フィプロニルなどが使用されます。
外用薬
また、局所治療として軟膏も使用されます。

また、二次感染を起こしている際は、その症状に対する治療薬も併用される場合があります。
また、環境中にも生き残ったダニが存在している可能性があるので、生活環境、飼育環境の掃除を行うことも重要です。

痒み・病気予防について

動物の皮膚病も人と同じように季節や生活環境の影響を受けます。

痒み、フケ、臭気などの症状は動物のQOLを低下させます。
重度の皮膚病には内服薬や塗り薬が必要となりますが、症状緩和の手段としてシャンプーによるスキンケアは非常に重要です。
特に動物は毛に覆われているので、定期的なスキンケアは生活の質の向上につながります。

痒み緩和や予防アイテム

シャンプーにはいろいろな種類があり、それぞれ緩和できる症状も変わります。

マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎のような、皮脂の分泌を抑えるシャンプーには角質溶解成分、皮脂酸性を抑制する成分が配合されています。
また、酵母菌の増殖を抑える成分を含む場合もあります。
細菌性膿皮症
細菌性膿皮症の治療に使用されるシャンプーにはクロルヘキシジンという抗菌成分が含まれています。
アトピー
アトピーのようなアレルギー性疾患には低刺激のシャンプーが使用されます。
日々の皮膚管理
また、日々の皮膚管理には薬用成分が少ないシャンプーや、保湿スプレーも有効です。

シャンプーの使用は通常は月に一回程度で十分ですが、皮膚に症状が出ている場合はそれ以上の頻度での使用が推奨されるので、皮膚の状態を含めて動物病院で獣医師に相談して決めてください。

皮膚の環境維持
さらに、皮膚の環境維持として、ビタミンやオメガ脂肪酸などのサプリも使用されます。
参考文献:犬と猫の治療ガイド2015